キナメティン ― アステカ神話に登場する巨人 ―

キナメティンとは、アステカ神話に登場する巨人のこと。
最初の時代に現れて、都市やピラミッドを建造したとされている。
基本情報
概要
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| 『バチカン写本A』のキナメティン |
キナメティンは、アステカ神話において現世(第5の世界)よりも前の時代に存在した巨人たちの種族のこと。その名はナワトル語で「巨人」を意味する「キナメト(Quinamet)」の複数形であり、人間よりもはるかに巨大で強靭な肉体を持った先住民族の総称であると考えられている。
キナメティンの姿については、写本『バチカン写本A(Codex Vaticanus A)』においては筋骨隆々の大男として描かれている。人間が彼らを捕らえたり運んだりする描写では そのスケール差が強調されるのが特徴であり、それが後世のイメージに影響を与えていると思われる。現代のゲームなどの二次創作に登場する場合は、人間の数倍の身長をほこる巨人であったり、岩のような肌を持つゴーレムのような姿で描かれていることが多い。
『バチカン写本A』において、神話上のキナメティンは黒のテスカトリポカが支配していた最初の世界「ジャガーの時代」に出現したとされる。この時代はドングリを主食とし、世界を闊歩していたが、時代の終焉とともにジャガーに食い尽くされて一度は壊滅的な被害を受けたとされる。しかし、その生存者や末裔たちは後の時代にも存在し続け、第三の世界に当たる「雨の時代」にまで生き延びたといわれている。そして、この時代に巨人たちが再び現れて、巨大な都市テオティワカンや世界最大の容積を誇るチョルーラの巨大ピラミッドを築いたとされている。
その理由として、チョルーラの建設者とされているのは「シェルワ(Xelhua)」という名の巨人であり、アステカ帝国の首都テノチティトランの建設者である「テノチ(Tenoch)」も巨人であったといわれている。このように、メキシコ各地の主要都市の創設者として個別の名を持つ巨人が複数存在していることから、高度な建造技術を持っていた民族だったと考えられている。しかし、彼らは次第に神々への敬意を失い、傲慢な罪を重ねたため、天からの「火の雨」によって世界とともに滅ぼされたと伝えられている。
第4の世界「水の時代」においては、洪水によって遺骨が地中に埋まったとされている。そのため、アステカの人々は実際に地中から出土した巨大な化石を古代の巨人の遺骨であると確信していた。スペイン人の征服者エルナン・コルテスも、アステカ人から贈られた「巨人の大腿骨」をスペイン王に送ったという記録が残っている。これらの骨は後代にマンモスなどの古生物の骨であると結論付けられたものの、当時の人々はキナメティンを神話上の存在ではなく、この地に実在して現在の文明の礎を築いた存在として強く信仰に近い畏怖の対象と考えていたとされる。
アステカ神話では、第4の世界が滅んだ後に天地が混ざり合って静寂な闇になったとされる。世界の創造神であるテスカトリポカという神々は、再び世界を構築しようと協力し、天を押し上げて四隅を支えようとした。この時に支えたのが、クアウテモック(Cuauhtemoc)、イツコアトル(Izcoalt)、イツカクリ(Izcaqlli)、テネシュチェ(Tenexuche)という4人の巨人であるとされている。この4人の出自については諸説あり、テスカトリポカらの半身、あるいはテスカトリポカによって創造された存在、あるいはイスタク・ミシュコアトルという人類の始祖神の子らであるといわれている。
なお、先にチョルーラの建設者として挙げたシェルワも、イスタク・ミシュコアトルの子であるとされ、天を支えた4人の巨人とは異母兄弟に当たると考えられている。このシェルワは、第4の世界が滅んだ原因となった洪水を生き延びたとされ、二度と洪水に飲まれないため、あるいは父なる天(イスタク・ミシュコアトル)に近づくために、粘土を焼いてレンガを作り、雲に届くほどの巨大なピラミッドを築き始めたとされる。しかし、これを傲慢と見た神々は怒り、天から火を降らせて建造を阻止したと伝えられている。この伝説は、旧約聖書の「バベルの塔」に酷似している。
固有名詞のあるキナメティン
イスタク・ミシュコアトルとチマルマの子(天を支える四巨人)
・クアウテモック(Cuauhtemoc):世界の四隅に配置された巨人の一人で、「西」の方角で天を支える役割を担う
・イツコアトル(Izcoalt):世界の四隅に配置された巨人の一人であり、「南」の方角で天を支える役割を担う
・イツカクリ(Izcaqlli):世界の四隅に配置された巨人の一人であり、「北」の方角で天を支える役割を担う
・テネシュチェ(Tenexuche):世界の四隅に配置された巨人の一人であり、「東」の方角で天を支える役割を担う
イスタク・ミシュコアトルとトラルテクトリの子(都市を築いた六巨人)
・シェルワ(Xelhua):チョルーラの巨大ピラミッドの建設者。メキシコ中央部の数多くの都市※を創設したという
・テノチ(Tenoch):アステカ帝国の首都テノチティトランの創設者
・ウルメカトル(Ulmecatl):クエトラシュコアパン、トントニワカン、ウィツィラパンの創設者。オルメカ族の祖とも
・シカランカトル(Xicalancatl):シカランカトルの地の創設者
・ミシュテカトル(Mixtecatl):ミシュテカ地方の創設者。
・オトミトル(Otomitl):シロテペク、トラン、オトンプンの創設者。オトミ族の祖とも
※テオティワカン、クアウケチョラン、イツォカン、エパトラン、テオパントラン、テワカン、クスカトラン、テオティトラン
データ
| 種 別 | 巨人 |
|---|---|
| 資 料 | 『バチカン写本A』『テリェリアーノ=レメンシス写本』『フィレンツェ写本』など |
| 年 代 | 不明 |
| 備 考 | 神話については諸説あり、内容が変わることが多い |
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