エンキドゥ【Enkidu】
珍奇ノート:エンキドゥ ― ギルガメッシュの親友 ―

エンキドゥとは、古代メソポタミアの神話や伝承に登場する人物のこと。

粘土から作られた人間とされ、ウルクの王・ギルガメシュの親友として知られる。


基本情報


概要


エンキドゥは、古代メソポタミアの神話や伝承に登場する人物であり、古代都市ウルクの王・ギルガメシュの仲間として知られている。アッカド語では「エンキドゥ(Enkīdu)」、シュメール語では「エンキドゥ(Enkidu)」と表記される。

エンキドゥの人物像は、文献によって違いが見られる。アッカド語の『ギルガメシュ叙事詩』では、ギルガメシュとエンキドゥは互いの力を認め合った親友として描かれる一方、シュメール語の『ギルガメシュとフワワ』では、エンキドゥはギルガメシュに仕える従者として描かれる。

『ギルガメシュ叙事詩』の冒頭では、ウルクの王・ギルガメシュが強大な力を持ち、暴政を敷いて人々を苦しめていたとされる。そのため、ウルクの人々は神々に救いを求めると、女神アルルは粘土を用いてエンキドゥを生み出した。

エンキドゥは野生の動物たちと共に暮らしていたが、ギルガメシュの指示を受けた狩人が連れてきた娼婦シャムハトと出会い、野生の動物たちから離れて人間社会へと導かれる。その後、ギルガメシュと出会って激しく争うが、やがて互いの力を認め合い、親友となった。

ギルガメシュと親友になったエンキドゥは、彼と共に数々の冒険に挑む。二人は杉の森へ向かい、森の番人である怪物フンババ(フワワ)と戦った。また、女神イシュタルが送り込んだ天の牡牛との戦いにも参加し、ギルガメシュと共にこれを倒した。

しかし、神々は二人の行いを問題視し、エンキドゥに死をもたらすことを決定する。やがてエンキドゥは病に倒れ、ギルガメシュに別れを告げて命を落とした。このエンキドゥの死は、ギルガメシュの物語における重要な転換点となる。

親友を失ったギルガメシュは、自らも死を免れられないことを恐れ、不死を求めて旅に出る。こうして、エンキドゥの死は、ギルガメシュが死と人間の運命について向き合うきっかけとなった。

エンキドゥは、シュメール語で記された複数の文学作品にも登場する。『ギルガメシュとフワワ』ではギルガメシュと共に杉の森へ向かい、『ギルガメシュと天の牡牛』では天の牡牛との戦いに参加する。また、『ギルガメシュと冥界』では、冥界に関係する出来事を通じてギルガメシュと関わる。

これらの作品は、後世の『ギルガメシュ叙事詩』と共通する題材を持つ一方、物語の展開や人物の描写には違いも見られる。

ギルガメシュは『シュメール王名表』にもその名が記されており、実在した王を起源とする可能性が指摘されている。一方、エンキドゥについては、実在したことを示す証拠は確認されておらず、その人物像は現存する文学作品を通して伝えられるのみである。

エンキドゥが登場する文献
・ギルガメシュ叙事詩(Epic of Gilgamesh)
・ギルガメシュとアッガ(Gilgamesh and Aga)
・ギルガメシュとフワワ(Gilgamesh and Huwawa)
・ギルガメシュと天の牡牛(Gilgamesh and the Bull of Heaven)
・ギルガメシュと冥界(Gilgamesh Enkidu and the Netherworld)
・ギルガメシュの死(The Death of Gilgamesh)

データ


種 別 神話・伝承上の人物
資 料 『ギルガメシュ叙事詩』、シュメール語のギルガメシュ物語群
年 代 古代メソポタミア
備 考 『ギルガメシュ叙事詩』では粘土から生み出されたとされる