フンババ / フワワ【Humbaba / Huwawa】
珍奇ノート:フンババ ― 古代メソポタミア神話に登場する怪物 ―

フンババとは、古代メソポタミアの神話や伝承に登場する怪物のこと。

杉の森を守る番人であり、ギルガメッシュとエンキドゥの宿敵として知られる。


基本情報


概要


フンババは、古代メソポタミアの神話や伝承に登場する存在であり、杉の森を守る番人として知られている。アッカド語では「フンババ(Ḫumbaba)」、シュメール語では「フワワ(Ḫuwawa)」と呼ばれる。

フンババは、アッカド語の『ギルガメシュ叙事詩』、シュメール語の『ギルガメシュとフワワ(A版・B版)』などに登場する。これらの作品では、ギルガメシュとエンキドゥが杉の森へ向かい、森の番人であるフンババと対決する物語が描かれている。

『ギルガメシュ叙事詩』では、ギルガメシュが後世に名声を残すため、エンキドゥと共に杉の森への遠征を決意する。杉の森のある山は神々の住まう場所とされ、フンババは神エンリルの命令を受けて森を守る番人だった。

フンババは、恐るべき咆哮を上げ、口からは炎を放ち、息は死をもたらすとされる。また、七つの恐怖をもたらす輝きを身にまとい、侵入者を威圧する強大な存在として描かれている。

二人が杉の森に入ると、太陽神シャマシュがギルガメシュを助け、十三の風を送り込んでフンババの動きを封じた。追い詰められたフンババは命乞いをし、ギルガメシュに従者となって森の木々を切り出すことを申し出る。

しかし、エンキドゥはフンババを生かせば後に災いを招くと考え、神々が事態を知る前に殺すようギルガメシュに促した。さらに、フンババを倒せば永遠の名声を得られると説いた。こうしてギルガメシュはフンババを殺害し、二人は杉の森の木々を切り倒した。

シュメール語の『ギルガメシュとフワワ』では、ギルガメシュが名声を得るために杉の森への遠征を決意し、エンキドゥと共に森の番人フワワと対決する。アッカド語の『ギルガメシュ叙事詩』と共通する題材を持つが、物語の展開には違いが見られる。

A版では、ギルガメシュが遠征の目的を語り、エンキドゥがフワワの恐ろしさを説明する場面が描かれる。

フワワは神エンリルによって杉の森の番人に任じられた存在とされ、七つの輝きを持つ。ギルガメシュは策略によってフワワから輝きを一つずつ引き渡させ、最後にはフワワの頬を拳で殴った。その後、エンキドゥがフワワの喉を切り、殺害した。

フワワの死を知ったエンリルは二人を咎め、その七つの輝きを野原や川、葦原、ライオン、宮殿、森、囚人を司る女神ヌンガルに分配する。なお、七つの輝きの分配先や順序については、写本によって違いがある。

B版もギルガメシュとフワワの対決を描くが、A版より短く、物語の展開にも違いがある。また、現存する本文の結末は欠損しているため、物語の最後までを確定することはできない。

『ギルガメシュ叙事詩』では、フンババの殺害が神々の怒りを招く出来事の一つとなり、その後、エンキドゥは神々の決定によって死を迎える。エンキドゥの死は、ギルガメシュが自らの死と人間の運命に向き合い、不死を求めて旅立つきっかけとなった。

フンババは、ギルガメシュとエンキドゥの冒険における敵対者として知られる。シュメール語の『ギルガメシュとフワワ』とアッカド語の『ギルガメシュ叙事詩』を比較すると、その描写や物語上の役割には違いが見られ、フンババに関する伝承が異なる形で伝えられていたことが分かる。

フンババが登場する文献
・ギルガメシュ叙事詩(Epic of Gilgamesh)
・ギルガメシュとフワワA(Gilgamesh and Huwawa, Version A)
・ギルガメシュとフワワB(Gilgamesh and Huwawa, Version B)

データ


種 別 伝説の生物
資 料 『ギルガメシュ叙事詩』、『ギルガメシュとフワワ』ほか
年 代 古代メソポタミア
備 考 シュメール語では「フワワ(Ḫuwawa)」と呼ばれる