EBANI【エバニ / Entidad Biologica Anomala No Identificada】
珍奇ノート:EBANI ― 未確認空中生物体 ―

EBANI(エバニ)とは、メキシコの上空で目撃される未確認空中生物体を指す呼称のこと。

具体的には、ワーム型や鎖状などの生物に見える未確認飛行物体のことを言う。


基本情報


概要


EBANI(エバニ)は、メキシコを中心に目撃報告のあるフライングサーペントスカイサーペント)などの「未確認空中生物体」を指す呼称であり、スペイン語の「Entidad Biológica Aérea No Identificada」の頭文字を取った略称となっている。この名称はメキシコのUFO研究者ハイメ・マウサンが2000年代前半にテレビ番組や講演で用いたことをきっかけに広まり、スペイン語圏を中心に普及した。

なお、EBANIという語は学術用語ではなく、UFO映像を扱うメキシコのメディア文化の中で生まれた造語であり、正式な定義や分類体系が存在するわけではない。そのため、使用される文脈や研究者によって意味が揺れやすい特徴を持つ。

EBANIが広く注目されるようになった背景には、メキシコにおけるスカイウォッチャー文化の存在がある。1991年にメキシコで発生した「メキシコ日食UFO事件」を契機に上空を常時撮影する愛好家が増え、彼らは「スカイウォッチャー」と呼ばれるようになった。

スカイウォッチャーの撮影した映像において、2000年代にはワーム状・鎖状の物体が多数記録された。代表的な例として、2005年にメキシコシティで撮影されたワーム状物体や、2009年にアルゼンチン・サルタで記録された細長い発光体などが挙げられる。これらの映像では、物体がうねるように動いたり、連続した球体が一体となって揺らめく様子が確認され、生物的な挙動として解釈されることもあった。

EBANIの形状は一定ではなく、単一の管状構造に見えるものから、複数の球体が連結した鎖状のもの、さらには母体から小さな球体が分離するように見える例まで報告されている。一部の高解像度映像では、多数の球体が連結した構造のように見えることがあり、球体が離脱して「フロティージャ(flotillas)」と呼ばれる小規模な球体群になる様子も記録されている。ただし、これらの挙動が実際に生物的な活動を示すものなのか、あるいは風に流される軽量物体の動きにすぎないのかについては議論が続いている。

科学的な観点からは、EBANIを生物的存在とみなす根拠は乏しい。懐疑的な研究者らは、EBANIの多くが風船群、広告用バルーン、凧、あるいは遠距離の浮遊物の誤認である可能性を指摘している。また、一部では大気プラズマ現象や未知の大気光学現象との関連を推測する意見も存在するが、いずれも決定的な説明には至っていない。高解像度映像の分析では、物体が多数の球体から構成されているように見える例も報告されており、映像に見られる多色の“オーラ”についても、レンズの色収差や撮影機材の特性による可能性が指摘されている。

一方で、UFO研究者のハイメ・マウサンは、EBANIを生物的存在である可能性が高いと主張している。マウサンによれば、ワーム型のEBANIが蛇のように色彩変化をしたり、うねるような動きを見せることや、内部から球体を放出する挙動は生命体の営みに近いと述べている。そうした動きから、当地に伝わるアステカ神話の「ケツァルコアトル」の正体はこれではないかとも主張している。そのため、マウサンはしばしばEBANIを「生物的UFO(バイオロジカルUFO)」の一種として扱うこともある。

現在のところ、EBANIは「空中で観測される細長い構造物または球体群の未確認現象」として位置づけられており、その正体については自然現象・人工物・誤認・未知の大気現象など複数の可能性が指摘されている。生物的存在とする説も存在するものの、確証はなく、映像資料の多くも解析が不十分であるため、EBANIの実態は依然として不明である。いずれにしても、EBANIは2000年代以降のUAP議論において、特異な形状と生物的な挙動が注目される象徴的な現象となっている。

EBANIの主な種類
EBANIは概念自体が曖昧であるため正式な分類は存在しない。本記事では、EBANIとして紹介された代表的な事例をもとに、便宜上以下のように分類する。

ワーム型EBANI

2004年頃からメキシコシティ上空で、白色の長大な蛇状・管状物体が多数撮影された。物体は空中でうねるように変形しながら移動し、一部映像では複数の球体が分離・放出されるように見える様子も記録された。ハイメ・マウサンが番組で取り上げたことで有名になり、「EBANI」という呼称が広く普及する契機となった。

球体放出型EBANI

メキシコの研究家アナ・ルイサ・シドが紹介した事例。2005年にメキシコシティの上空を飛行するワーム状物体から小型の球体が離脱するように見える映像が撮影された。EBANI研究では「母体と子機(フロティージャ)」の代表例としてしばしば引用される。

発光ワーム型EBANI

2009年にアルゼンチンのサルタ州で、細長く発光する蛇状物体が目撃・撮影された。ゆっくりと変形しながら移動する様子が報告され、メキシコ以外でEBANIとして紹介される代表的な事例の一つとなっている。

鎖状EBANI

メキシコのテオティワカン周辺では、複数の球体が連結したような鎖状構造の飛行物体が繰り返し撮影されたとされる。EBANI研究者はこれを「チェーン型」「カデナ型」と呼び、生物的に連結した存在である可能性を主張している。

クラゲ型EBANI

ハイメ・マウサンが公開した2022年にメキシコで撮影されたという映像には、空中で回転・変形している白色のクラゲのような構造を持つ物体が映っている。肯定派はEBANIの一種と解釈したが、懐疑派からは風船や軽量物体の可能性が指摘された。

データ


種 別 未確認飛行物体
目撃地 メキシコ
年 代 2000年代~
サイズ 不明
備 考 生物的UFOの一種と定義されることがある