クリッター / スカイ・クリーチャー【Critter / Sky Creature】
珍奇ノート:クリッター ― 大気中に生息する未確認生物 ―

クリッターとは、大気中に生息するといわれるUMAのこと。

肉眼では見ることができず、赤外線領域にのみ実態が存在するとされている。


基本情報


概要


クリッターは、主にアメリカの砂漠地帯などで観測された大気中に生息するUMAである。UFO研究家のトレバー・コンスタブルが、UFOの正体を「宇宙人の乗り物ではなく、地球の空に住む巨大な原生動物である」という独自の仮説に基づいて提唱した。別名として「大気獣(アトモスフェリック・ビースト)」とも呼ばれている。

その外見は、一定の形を持たないアメーバ状、あるいはクラゲのような不定形の姿をしているとされる。体長は数センチ程度のものから、数百メートルに及ぶ巨大なものまでと多種多様であり、通常は「肉眼で見ることができない」という点が最大の特徴とされている。そのため、赤外線領域に存在するプラズマ状のエネルギー生命体だと考えられている。

発見の歴史は、1950年代にトレバー・コンスタブルがカリフォルニア州の砂漠にて赤外線フィルムを用いた撮影実験を行ったことに始まる。彼は赤外線だけを通すフィルターを装着したカメラを用意し、オルゴン・アキュムレーターと呼ばれる装置でクリッターをおびき寄せながら空を撮影し続けた。すると、肉眼では何も見えない空に、受精卵やアメーバのような影を写し出すことに成功したという。この事実から、彼は「これまでUFO(未確認飛行物体)とされていたものの正体は、異星人の乗り物ではなく、地球の大気中に生息する肉眼不可視の生命体である」と主張し、著書『They Live in the Sky!』を出版した。

この著書において、彼は1891年にインディアナ州で目撃された「クロフォーズビルの怪物」や、1950年にペンシルベニア州で発見された「スターゼリー」など、過去の怪異についても全てクリッターであると再定義し、自説の理論的支柱とした。さらに、レーダーが何もない空間で物体を感知する「エンジェル・エコー」という現象についても、目に見えないだけで実在するクリッターの群れが電波を反射したものであると主張し、超常的な怪現象を「大気中という海に住む生態系」という一つの大きな枠組みで統合することで、自身の「生物学的UFO説」を強固な形に体系化した。

しかし、この主張については科学的には否定されており、赤外線写真に写った「レンズフレア」や「現像時の感光ムラ」、あるいは高空に浮遊する塵や気象現象の誤認であると反論されている。その一方で肯定的な意見もあり、大気という「ガス状の海」に適応した未知の原生生物とする説や、物理的な肉体を持たずオルゴン(生命エネルギー)が凝縮して一時的に物質化した存在であるとする説も唱えられている。

現在の評価としては、クラゲ型UFOなどの生物型のUFOが発見された際に、それを説明するための古典的な説として再注目されている。そのため、クリッターという概念は、科学的な実在性は証明されていないものの「空には目に見えない独自の生態系があるのかもしれない」というロマンあふれる仮説として、UMAファンやオカルト研究者の間で今なお根強く支持されている。

クリッターとオルゴン


クリッターを語る上で欠かせないのが「オルゴン」である。オルゴン(Orgone)とは、1939年にオーストリアの精神分析家ヴィルヘルム・ライヒによって提唱された概念で、宇宙はオルゴンと呼ばれる生命エネルギーで満たされており、質量は無く、これが濃縮されることで生命が誕生するとされた。

また、翌年には「オルゴン・アキュムレーター」という空中からオルゴンを吸収し、内部に放射・濃縮するための装置も開発された。それは箱の中に有機材料(木材や綿など)と無機材料(金属板や鉄粉など)を交互に積み重ねた構造になっており、外側の有機物がオルゴンを吸収し、内側の金属がそれを反射・放射することで、内部にオルゴンを濃縮するという仕組みになっている。

トレバー・コンスタブルは、自身が提唱したクリッターを撮影するために1957年からカリフォルニア州の砂漠で撮影実験を開始したが、なかなか想定通りの結果は出なかった。そこで、オルゴンという概念に着想を得て「クリッターはオルゴンを主食とする生命体である」という仮説を立てた。

彼は、クリッターを効率よくおびき寄せるためにオルゴン・アキュムレーターを転用し、この装置を用いて砂漠の空の一部に高密度のオルゴン層を作ろうとした。いわば「クリッターの餌場」を作ることでクリッターを特定の場所に誘導し、その密度を高めることで赤外線写真に捉えようと考えたのである。

実験開始から約1年半後、トレバー・コンスタブルは遂にクリッターの撮影に成功した。現像された写真には、卵型やアメーバ状の中心部が濃く縁が半透明な物体が写し出されていたのである。この写真は「Amoeba no.1」と名付けられた。

データ


種 別 UMA、大気獣
目撃地 アメリカ、イタリアほか
年 代 1891年
体 長 数センチ~数百メートル
備 考 大気獣という概念の生みの親となっている

目撃情報


1891年 アメリカ・インディアナ州(クロフォーズビル)の目撃例


1891年9月、インディアナ州クロフォーズビルの上空で、体長約6メートルの白く細長い円筒状の怪物が目撃された。複数のヒレを持ち、喘ぐような音を立てながら空中を泳ぐ姿が2夜にわたって確認され、地元紙でも報じられた。

トレバー・コンスタブルはこの事件を、クリッターが何らかの理由で低空に降りてきた、あるいは物質化した代表的な実例として引用している。

1950年 アメリカ・ペンシルベニア州(フィラデルフィア)の目撃例



1950年9月、2人の警官が空から降ってきた直径約2メートルの「光るゼリー状の物体」を発見した。物体は粘着質で震えており、警官が触れようとすると、まるで雪のように溶けて跡形もなく消えてしまったという。

トレバー・コンスタブルはこれを、クリッターの死骸が地上に落ち、大気に触れて急速に分解・気化した「スターゼリー」現象であると解釈した。

1954年 イタリア・ジェノヴァ近郊の目撃例


1954年以降、イタリアの研究家ルチアーノ・ボッコーネが、高所に設置した赤外線カメラで空を連続撮影した。そこには肉眼では何も見えない青空に、半透明の巨大なアメーバやクラゲ、あるいは怪鳥のようなシルエットが多数写り込んでいた。

トレバー・コンスタブルはボッコーネの活動を高く評価し、これらこそが自分が提唱した「赤外線領域に生息するクリッター」の決定的証拠であると位置づけた。

1958年 アメリカ・カリフォルニア州の目撃例


1958年、アメリカのカリフォルニア州にあるエドワーズ空軍基地付近で、航空機が飛行中に正体不明の「巨大な雲のような塊」と遭遇した。その塊は航空機を包み込もうとするような動きを見せ、接触した瞬間に機体のエンジンや計器に一時的な不調をきたしたとされる。

トレバー・コンスタブルは、こうした航空機への「干渉」や「攻撃」は、クリッターが航空機を捕食対象、あるいは外敵とみなして反応した結果であるという持論を展開した。