エンゼル・ヘア【Angel Hair】
珍奇ノート:エンゼル・ヘア ― UFOとともに現れる繊維状の謎の物体 ―

エンゼル・ヘアとは、欧米などで目撃されている繊維状の謎の物体のこと。

UFOの目撃現場で発見されていることから、UFOによって生成されているのではないかと言われている。


基本情報


概要


珍奇ノート:エンゼル・ヘア ― UFOとともに現れる繊維状の謎の物体 ―
珍奇ノート:エンゼル・ヘア ― UFOとともに現れる繊維状の謎の物体 ―

エンゼル・ヘア(天使の髪)は、UFOの目撃に伴って発見される粘着質の繊維状物質で「ゼリー状のクモの巣のような物体」と言われることが多い。また、シリシャス・コットン(珪質の綿)と呼ばれることもある。

この物体が最初に発見されたのは1917年のポルトガルのファティマであり、この地に出現した聖母が去っていくのと同時に空から降ってきたとされる。なお、このときは「雪片のようなもの」と表現された。

また、1950年代にはフランス、イタリア、アメリカなどでも目撃されるようになり、この頃からUFOの目撃とセットで発見され、形状についても「クモの巣のようなもの」と言われるようになる。

このエンゼル・ヘアは、丸まった状態で空から降ってきたり、クモの巣状のまま空中を漂うと言われる。また、手にとったり、地面に落ちたりすると、たちまち崩壊または蒸発して消えてしまうとも言われている。

なお、1959年にはポルトガルのエヴォラ市で発見されたサンプルが、1917年10月13日にファティマで発見されたサンプルとともにリスボン大学にて顕微鏡分析にかけられた。その結果、中心核から伸びる10本の腕を持つ小さな生物によって形成されていることが分かったという。

そのため、エンゼル・ヘアは学術的には「自然に生成される白い薄片ではないか」または「高度に発達した単細胞生物で、動物ではなく植物に分類されるだろう」と結論付けられている。

その一方で、UFO研究家の間では「UFOを取り囲む電磁場によってイオン化された空気がみぞれのように凝結したもの」あるいは「UFOから発生する過剰なエネルギーが物質化したもの」などと言われているらしい。

ちなみに、海外では流星群とともに発生するスター・ゼリーとの関連性が指摘されている。また、日本においては その形状などからケサラン・パサランとの類似性を指摘する意見もある。

エンゼル・ヘアの特徴

・形状・質感ともにクモの巣に似ている(実際にクモの巣の誤認報告もある)
・ゼリー状である(または丸めるとゼリー状になる)
・触った感触は毛糸やナイロンに似ている
・手で触ったり、地面に落ちたりすると蒸発するように消えてしまう
・火を付けるとセロファンのように燃える
・UFOの目撃現場で発見されることが多い

データ


種 別 UMA
資 料 現地での目撃情報、大学での分析結果など
年 代 1917年(1950年代の目撃例が多い)
備 考 スターゼリーやケサランパサランとの関連性が指摘されている

資料


目撃情報


・1917年9月13日、ポルトガルのファティマに出現した聖母が消失すると同時に雪片のようなものが降ってきた
・1952年10月、フランスのオロロン上空に円筒形と球形のUFOが現れ、移動中に糸状のものが降ってきた
・1952年10月、フランスのガイヤック上空に円筒形と球形のUFOが現れ、去った後に糸状のものが降ってきた
・1954年、イタリアのヴェネツィアに2機のコマ型飛行物体が現れ、空にエンゼル・ヘアを残しつつ飛んでいった
・1957年、アメリカのフロリダ州の海岸沖で、上空から落ちてくるエンゼル・ヘアが目撃された
・1959年11月2日、ポルトガルのエヴォラ市にてエンゼル・ヘアが採集され、科学者たちによる分析が行われた
・1969年、アメリカ空軍によるUFO研究の一環で調査され、その結果がコンドンレポートにまとめられた
・1998年8月、オーストラリアで20機ほどのUFOが目撃され、現場にはエンゼル・ヘアが残されていたという
・1999年、西オーストラリア州で大量のエンゼル・ヘアが広範囲にわたって飛来したことが報告された



1917年 ファティマでの目撃例(ポルトガル)


1917年、ポルトガルのファティマという小さな町に聖母が出現した。聖母はルシアという少女と対話し、様々な予言を与えたことから、人々に多くの反響を呼び、やがて聖母の現れるコヴァ・ダ・イリアに群衆を集めるようになった。

1917年9月13日、この日は聖母が現れると予告された日であった。聖母の姿を見たり、対話することができたのはルシアだけだったが、ルシアが群衆に対して聖母の出現を呼びかけると、晴天の空に東から西に向けてゆっくりと滑り落ちてくる球体が現れ、人々が手を挙げると球体は異常な光を放って周辺を黄金色に染め上げた。

そこでルシアが一連の対話を終えると、聖母は最後に「翌月に全ての人が信じるように一つの奇跡を行います」と約束して空に上っていったという。このとき、人々は卵型の球体が東方に上っていく様子を目撃した。また、それと同時に空から"白い花びらのようなもの"や"丸まった輝く雪片のようなもの"が落ちてきて、人々は帽子ですくったり、手に取ったりしたが、これらは落ちた瞬間に消失してしまったという。

1952年 オロロンでの目撃例(フランス)


珍奇ノート:エンゼル・ヘア ― UFOとともに現れる繊維状の謎の物体 ―

1952年10月17日の昼頃、フランスのオロロンにて奇妙な光景が目撃された。この光景について目撃者の一人であるジャン=イーヴ・プリジャン(Jean-Yves Prigent)は次のように語っている。

「この日は快晴で雲ひとつなかったのだが、青空の中に突然 奇妙な形の綿状の雲が現れた。その上に細長い円筒形ものが45度くらいに傾いて、南西に向かってゆっくりと直線的に動いていた。それは上空 2000~3000メートルほどに位置しており、色は白っぽくて光っておらず、輪郭はハッキリ見えた。また、上端から白煙を噴き出していた。

さらに、円筒形のもの正面には30ほどの小さな物体が少し距離をおいて漂っており、肉眼で見ると球形の煙の塊のように見えた。そこで双眼鏡で見てみると、赤い球形の物体で、それぞれが傾斜した黄色い輪で囲まれており、球体部分の中央から上はハッキリと見えるが、下は隠れてほとんど見えなかった。これらはいわゆる"空飛ぶ円盤"のようなものであり、ペアになって動いていた。このペアが離れると、2つの間にアーク放電のような白っぽい筋が現れた。」

この後、プリジャンが「白っぽい筋」と語った糸状のものが数時間かけて地上に降ってきて、電話線や木の枝に引っかかったり、家屋の屋根を包み込んだ。その糸状のものは、毛糸やナイロンに似た感触で、目撃者らが それを拾ってボール状に丸めると、すぐさまゼラチン状に変化し、さらに気化するように消えてしまったという。

また、この糸状のものに火をつけるとセロファンのように燃えたのだという。また、落下現場にて10メートルほどのサンプルを回収した理科教師が分析を試みたが、それを棒に巻きつけたところで気化するように消えてしまったので、分析には至らなかったものの、その消失する様子はじっくり観察できたと語っている。

1952年 ガイヤックでの目撃例(フランス)


1952年10月27日、フランス ガイヤックのトゥールーズ街に住むドール夫人が、飼っているニワトリたちが騒いでいるのに気付いて鶏小屋に向かってみると、空に45度ほどに傾いた円筒形のものが南西に向かって飛んでいき、周りに20機ばかりの円盤のようなものが取り巻き、ペアになってジグザグに飛んでいくという光景を目撃した。

これは10日前にオロロンで目撃されたものと同じものであったが、このときは円盤が地上に近い位置を飛んでいたといわれ、その高さは上空 300~400メートルほどだったという。この光景は見始めてから20分程度続き、やがて円筒形のものと円盤は地平線の彼方に消え去ってしまった。すると、同じく白い糸状のものが降り始め、円盤らが見えなくなってからもしばらく降り続けたのだという。

1954年 ヴェネツィアでの目撃例(イタリア)


1954年10月27日、ジェンナロ・ルチェッティ(Gennaro Lucetti)とピエトロ・ラストルッチ(Pietro Lastrucci)という人物がヴェネツィアのサンマルコ広場にあるホテルのバルコニーから「2機の発光するコマ型飛行物体」を目撃し、空中にエンゼル・ヘアを残しつつ空を横切って飛んで行ったと語っている。

1957年 フロリダ州での目撃例(アメリカ)


1957年の夏、ボルチモア水族館所長のクレイグ・フィリップスがフロリダ州の海岸沖で上空から落下してくるエンゼル・ヘアを目撃した。そこで彼はサンプルを回収し、瓶に密閉して持ち帰ったのだが、研究室に着くと瓶の中のサンプルは全て消えてしまっていたという。

1959年 エヴォラ市での目撃例(ポルトガル)


1959年11月2日、ポルトガルのエヴォラ市にてエンゼル・ヘアが採集された。

このサンプルは、1917年10月13日にポルトガルのコーヴァ・ダ・イリア(ファティマの奇跡の現場)で発見されたサンプルとともに、リスボン大学にて学校長および技術者・科学者による顕微鏡分析が行われた。

すると、この物体は中心核から伸びる10本の腕を持つ小さな生物によって形成されていることが分かり「自然に生成される白い薄片ではないか」または「高度に発達した単細胞生物で、動物ではなく植物に分類されるだろう」と結論付けられた。

なお、この分析が行われているの際には同都市でUFOの目撃が相次ぎ、さらに北に数キロ行った先にあるシントラ空軍基地でもエンゼル・ヘアが発見されたという。

1969年のコンドン・レポートによる説明(アメリカ)


アメリカ空軍は、1967年にコロラド大学のエドワード・コンドン教授に依頼し、UFOに関する調査を開始した。1969年には報告書として「コンドン・レポート」がまとめられ、その中にエンゼル・ヘアに関する記述がある。

その内容は「UFOによって堆積されたと思われる物質で、大量に落下するが不安定ですぐに崩壊し、落下した直後に消失してしまう繊維状物質である。いくつかのケースを調査したが、組成や起源は不明である」というものだった。

1998年 ニューサウスウェールズ州での目撃例(オーストラリア)


珍奇ノート:エンゼル・ヘア ― UFOとともに現れる繊維状の謎の物体 ―

1998年8月、オーストラリアのニューサウスウェールズ州のクイリンディ近郊の農場に"銀色の光る球体"のような20機のUFOが飛来し、エンゼル・ヘアと呼ばれるクモの巣状の物体を地面に散布するという事件が起こった。

米国の大衆紙『USA Today』の1998年8月19日の記事によれば「先週末、クイリンディの小集落の住民は、UFOが頭上を通過した後にクモの巣が空から落ちてくるのを見たと証言した。この出来事は何十人もの住民によってオーストラリアの国立UFO報告センターに通報されている」と紹介されている。

また、同州タムワースのタブロイド紙『North Daily Leader』によれば「61歳のE・スタンスフィールド夫人は、頭上を通過する20ばかりの銀色の球体と、クモの巣のようなものが空から落ちてくるのを見たと証言した。彼女は娘の家に向かって出掛けている途中でこの現象に遭遇し、このクモの巣のようなものを拾おうと手にとったが、それはまもなく手の中で崩壊してしまったという。

この事件は1998年8月9日(日)の午後5時4分に発生し、現場のクイリンディはリバプール山脈のちょうど北、ニューサウスウェールズ州タムワースの南西約70キロメートル(42マイル)、シドニーの北西300キロメートル(180マイル)に位置している。またオーストラリアの研究者であるレイモンド・ブルックス(Raymond Brooks)は、様々な謎の飛行物体がエンゼル・ヘアを飛散しながら1.5時間にわたってアクロバット飛行をしていたと語っている」と紹介されている。

1999年の西オーストラリア州での目撃例(オーストラリア)


珍奇ノート:エンゼル・ヘア ― UFOとともに現れる繊維状の謎の物体 ―

1999年、西オーストラリア州のピーターと名乗る男性からUFO報告センターに通報があった。その内容は「白い糸状のものが大量に空を飛んでいるのを見た。それらは牧草地や木々、送電線などに次々と引っかかっていった」というものだった。

なお、ピーターがそれらを触ってみたときに、それは「粘着性のある綿のようで、布のようではなかった」という。これは後にエンゼル・ヘアと呼ばれるものだということが分かった。


関連項目