大鯢【オオハンザギ】
珍奇ノート:大ハンザキ ― 岡山県に伝わる伝説のオオサンショウウオ ―

大ハンザキとは、岡山県真庭市に伝わる伝説のオオサンショウウオのこと。

竜頭の淵と呼ばれる深い淵に棲み、人馬を喰らうことから村人たちに恐れられたといわれている。

戦国時代に退治されたが、祟りを起こしたことから鯢大明神として祀られることになった。

また、これを契機に毎年夏に「はんざき祭り」が行われるようになったという。


基本情報


概要


珍奇ノート:大ハンザキ ― 岡山県に伝わる伝説のオオサンショウウオ ―
鯢大明神

ハンザキとは、岡山県などで使われるオオサンショウウオの異称であり、その由来として「身体を半分に裂いても生きていそうな動物だから」「口を開けた時に身体が半分に裂けたように見えるから」などといわれている。

また、岡山県真庭市には「はんざき大明神」という神社があり、この神社が建てられることになった伝説として「戦国時代、この付近に竜頭の淵と呼ばれる淵に巨大なハンザキが棲んでおり、人馬を喰うので人々に裂けられていたが、ある時 村の若者によって退治された。その後、夜毎に その若者の家を号泣しながら訪れる者が現れるようになったが、外に出ても姿は見えず、やがて若者は一家共々死に絶えてしまった。これをハンザキの祟りと考えた村人たちは後難を恐れて"はんさぎ大明神"として祀ることにした」というものがある。

この村では毎年夏に「はんざき祭」を行うようになったとされ、今でも毎年8月8日に湯原温泉街で開催されているという。また、湯原温泉には「はんざきセンター」というオオサンショウウオの保護施設があり、そこでは生きているオオサンショウウオを見られるほか、オオサンショウウオに関する資料なども見られるようだ。

データ


種 別 UMA、日本妖怪、伝説の生物
資 料 伝説(神社由緒)
年 代 戦国時代
備 考

伝説


竜頭の淵の大ハンザキ(はんざき大明神の伝承)


珍奇ノート:大ハンザキ ― 岡山県に伝わる伝説のオオサンショウウオ ―

その昔、旭川(岡山県)には竜頭の淵という深い淵があった。そこには大ハンザキ(巨大山椒魚)が棲んでおり、付近を通る人や馬を喰らっていたので、ここにに近づく者は居なかった。

文禄初期(1592~1596年)、村人たちが家普請のために川の近くに集まった時のこと、通りすがりの巡礼者が「大ハンザキを退治できる村人はおらんのか、腰抜けどもめ」とバカにしたところ、これを聞いた三井彦四郎という若者が「あんな化物、俺が一人で倒してやるから見てろ」と言い返した。

そして、彦四郎は服を脱いで腰に紐を結びつけて「合図したら引き上げろ」と言い、口に短刀を加えて淵に飛び込んだ。しかし、あっという間にハンザキに呑まれてしまったので、村人たちは呆気にとられてしまった。

だが、しばらくするとハンザキの腹から血が流れ出し、やがて腹から短刀の刃が突き出てきた。すると、そこから彦四郎が這い出てきて巡礼者を睨みつけ、「これでも腰抜けか!」と言って その場で切り伏せてしまった。なお、引き上げられた大ハンザキは、体長10メートル、胴回り5メートルもあったという。

その後、毎夜のように彦四郎の家の戸を叩いては号泣する者が現れるようになった。外を見回しても誰もおらず、やがて彦四郎一家はその祟りで死に絶えてしまった。そのため、村人たちは、死霊の祟りだと恐れて夕方以降は外出しなくなったという。

彦四郎の死後、村人たちは後難を恐れて大ハンザキをハンザキ大明神として祠に祀った。また、彦四郎に殺された巡礼者の墓も築いて霊を慰めた。こうした伝説に基づいて、地元では今でも毎年8月8日にハンザキ祭が行われている。

関連施設・イベント


岡山県


・鯢大明神(真庭市):伝説の大ハンザキが祀られている神社
・はんざきセンター(真庭市):鯢大明神付近にあるオオサンショウウオの保護施設(公式
・はんざき祭り(真庭市):大ハンザキの伝説に基づく祭りで、毎年8月8日に湯原温泉街で行われる(公式