フラットマン【Flat Man】
珍奇ノート:フラットマン ― 隙間に張り付く黒い影 ―

フラットマンとは、世界各地で目撃される平面的な影ような存在のこと。

壁や天井などに張り付くように出現し、見つかると隙間に逃げ込むといわれている。


基本情報


概要


フラットマンは、世界各地で目撃されている二次元的な黒い影ような存在である。同じく黒い影のような存在として認知されているシャドウピープルの亜種とされており、シャドウピープルが立体的な存在であることに対し、フラットマンは紙のように極端に厚みのない薄っぺらな印象が特徴とされている。そのため「2D Shadow People」と呼称されることもある。

目撃証言の多くでは「紙一枚ほどの厚みしかない」あるいは「真横を向いた瞬間に線になってそのまま消えた」など横から見ると厚みがほとんど無く、光を一切反射しない漆黒の質感を持ち、滑ったり直角に折れ曲がるような不自然な動きを見せることが特徴とされている。

主な出現場所は人間が入り込むことが不可能な「隙間」に限定されることが多く、ドアの隙間、数センチしか開いていない引き出しの中、本棚と壁の間などに張り付いた状態で発見され、視線を向けると隙間に吸い込まれるように高速で消失するといわれている。そのため、物理的な実体のない平面的な影のような存在として語られている。

フラットマンの歴史については、ロシアのシベリア地方ヤクーチアには古くから「地面を這う人影」の伝承があり、これが最初期の観測例として上げられることがある。ヤクーチアに住むサハ族の間では、現地の精霊信仰(アニミズム)に基づいて空間に張り付く「異界の穴」のような存在として定義されており、それは木々や岩などに張り付くように移動し、人間や家畜などの獲物が足を踏み入れるとブラックホールのように吸い込んでしまうと言い伝えられている。

この「地面を這う人影」の伝承は、19世紀後半にヤクーツクで現地の民俗学を採録したロシア人研究者たちの記録に「厚みのない影」に関する詳細な記述あることから、この地域に文字が定着する以前から存在することが示唆されており、現代のアメリカでシャドウピープルが認知される遥か以前から認識されていたと考えられている。

その後、20世紀後半にはアメリカでシャドウピープルが広く知られるようになり、その目撃談に伴って類似する怪現象として報告されるようになった。例えば、1990年代以降にアメリカの超常現象調査団体に寄せられた情報では「半開きになったドアの厚みの部分に真っ黒い影がシールのように張り付いており、視線を向けるとドアの隙間に滑り込むように消えた」という報告がある。

また、インターネットが普及すると掲示板などで体験談の投稿が行われるようになった。アメリカでは「部屋の角に黒い影が立っており、近づいた瞬間に本を閉じるように二つ折りに重なって壁の隙間に消えた」というものや「天井に黒い大きなシミのようなものがあり、それが天井を這ってクローゼットの隙間に吸い込まれた」などの体験談が投稿された。日本では、主に2ちゃんねるのオカルト板に投稿されており、洒落怖の「隙間男」や「隙間人間」という話がフラットマンの特徴に類似している。

この現象について、アメリカの怪奇現象研究家であるチャーリー・パップスは、2015年にテネシー州での目撃例を分析して「次元の重なりによって生じた厚みのない存在」であると結論づけた。その際に彼は「この存在は三次元的な奥行きを持たない完全な平面である」ということを強調し、これが「フラットマン(Flat Man)」という呼称で定着させる要因となったとされている。

しかし、影のような存在であるフラットマンには発見と同時に消失するという特性があるため、物的な証拠を残すのは困難である。そのため、見間違えであると処理されることが多く、心理学的な視点ではパレイドリア(錯覚)の一種として片付けられることが一般的である。それでも複数の目撃者が共通した特性を報告している点や、住宅の構造上の隙間を正確に利用して逃走する点などから、単なる幻覚では説明できない現象として認識されており、オカルト分野で独自のカテゴリを形成している。

データ


種 別 超常現象
目撃地 世界各地
年 代 古代~
体 長 不明
備 考 シャドウピープルの一種という説もある

目撃情報


1990年代後半 アメリカ・住宅街での目撃例


1990年代後半、アメリカの複数の超常現象調査団体に対し「ドアの厚みに張り付く影」の報告が相次いで寄せられた。目撃者は「半開きになったドアの木口(わずか数センチの面)に真っ黒い人影がシールのように密着していた」と証言しており、視線を向けると影はドアの表面を滑るように移動し、蝶番のわずかな隙間に吸い込まれるように消失したという。これは、フラットマンが三次元的な肉体を持たず、数ミリの平面的空間を移動経路として利用していることを示す初期の具体的な報告例とされている。

2000年代初頭 アメリカ・インターネットフォーラムでの投稿例


2000年代初頭、インターネットの普及に伴い、初期のオカルト系フォーラムに「折りたたまれる影」の体験談が投稿された。ある投稿者は、部屋の角に立っていた漆黒の人影が、近づいた瞬間に「本を閉じるようにパタンと二つ折りに重なり、そのまま壁の隙間に消えた」と詳述している。この報告は、フラットマンの構造が筋肉や骨格によるものではなく、紙や板のような「完全な平面」に近い性質を持っていることを浮き彫りにした。

2010年頃 アメリカ・Redditでの報告例


2010年前後、海外のネット掲示板Redditの「r/ShadowPeople」において、二次元的な影に関する典型的な事例が報告された。それは、目撃者が自宅の廊下で漆黒の人影に遭遇したというもので「それが真横を向いた瞬間に、一本の線のように細くなって視界から消えた」と表現されている。これは、対象が「消滅」したのではなく、あまりの薄さゆえに真横を向いたことで三次元的な視認が不可能になった(厚みが皆無である)という物理的解釈を広めるきっかけとなった。

2015年 アメリカ・テネシー州での目撃例


2015年、アメリカの怪奇現象研究家チャーリー・パップスは、テネシー州東部で発生した「直角に折れ曲がるシミ」の事例を記録した。深夜に目を覚ました男性が天井に「人の形をした大きな黒いシミ」を目撃し、最初は水漏れだと思って見ていたが、やがて壁を這うように動き出したという。それはプロジェクターに投影されたような映像のようで、壁との境界線(90度のコーナー)に差し掛かっても形を崩すことなく直角に折れ曲がって移動し、最後はクローゼットの隙間に吸い込まれたとされている。この記録は、フラットマンが「物理法則を無視して空間に張り付く存在」であることを定義づける事例となった。