ロック鳥/ルク【Roc/Rukh】
ロック鳥 ― 中東・インド洋地域に伝わる伝説の巨大鳥 ―

ロック鳥とは、中東やインド洋地域の伝説に登場する巨大鳥のこと。

巨大で力強く、ゾウなどの大型動物を捕食していたと伝えられている。


基本情報


概要


ロック鳥は中東やインド洋地域の伝承に登場する巨大な怪鳥である。伝説では翼を広げると14メートル以上に達し、ゾウやサイといった大型動物を爪で掴んで空中に持ち上げるほどの力を持つとされる。羽毛は白や黄褐色とされ、卵は非常に大きくて殻の周囲は45メートルを超えると伝えられている。

ロック鳥は『アラビアンナイト(千一夜物語)』の「シンドバットの冒険」やマルコ・ポーロの『東方見聞録』などに登場する。物語の中では世界の中心とされる「カフ山」にのみ降り立つ巨大鳥として描かれている。

現実の動物としては確認されておらず、あくまで伝説・神話上の存在として扱われている。また、古代の巨大鳥類(マダガスカルのエピオルニスなど)がロック鳥のモデルになったという指摘もある。

データ


種 別 伝説の生物
資 料 『千一夜物語』『東方見聞録』ほか
年 代 9世紀頃~
備 考 古代の巨大鳥類がモデルという説がある

シンドバッドの冒険に登場するロック鳥


シンドバッドが航海の途中で無人島に上陸した際、その島で巨大なロック鳥の卵を見つけた。その大きさは通常の鳥の卵とは比べ物にならないほど巨大であり、殻はひび割れていて雛がくちばしが殻を破ろうとしていたところだった。これを見た仲間の商人たちが斧で卵を割って食べようとしたので、シンドバッドはやめるように訴えたが聞き入れられず、結局 中の雛を焼いて食べてしまった。

その後、遠くの空から二つの大きな影が近づいてきた。それはロック鳥の親鳥であり、卵を割られて雛が食われたのを知ると恐ろしい鳴き声を上げながら接近してきたので、シンドバッドは急いで船に戻って なんとかその場から逃げ延びた。

東方見聞録に登場するロック鳥


ロック鳥は、ワシのような見た目をした途方もなく巨大な鳥である。その翼は非常に大きく、羽軸(羽の中心部分)は約十二歩もの長さがあるとされている。非常に強い力を持ち、その爪で象を掴み、空高く持ち上げて地面に落として殺した後、ゆっくりと降りてきてその肉を食べるという。

現地の人々はこの鳥をルク(Roc)と呼び、それ以外の名前はないと伝えられている。また、その羽根の一片がグレート・ハーン(フビライ・ハン)に持ち帰られたという逸話も残されている。この鳥は、西洋で語られるグリフォンのようなものではなく、純粋に巨大な鳥として存在すると聞いている。