羽白熊鷲【ハジロクマワシ/ハシロクマワシ】
珍奇ノート:ハジロクマワシ ― 日本神話に登場する翼のある人 ―

羽白熊鷲(はじろくまわし)は、仲哀天皇の時代に筑紫国にいたとされる翼のある人のこと。

『日本書紀』には 身体に翼があって空を飛んだ という特徴が記されており、凶賊として討伐されたと伝えられている。


基本情報


概要


ハジロクマワシは『日本書紀』に登場する人物で、「身体に翼があり、空を飛んだ」という特徴を持ち、仲哀天皇の時代に筑紫国で人民から略奪を繰り返していたことから 神功皇后によって討伐されたと記されている。

具体的な説話は『日本書紀』以外に残っていないようだが、説話に登場する荷持田村は現在の福岡県朝倉市に当たるとされており、市内のあまぎ水の文化村に「羽白熊鷲の墓」と呼ばれる古墳がある。

データ


種 別 日本神話の怪人
資 料 日本書紀
年 代 仲哀天皇の時代
備 考 翼のある人だったとされる

日本神話


あらすじ


仲哀天皇の時代、筑紫国の荷持田村(のとりたのふれ)にハジロクマワシ(羽白熊鷲)という者がいた。

この者は強く丈夫で、身体にあった翼で空を飛び、天皇の命令に従わずに人民からの略奪を繰り返していた。

そこで、神功皇后は層増岐野(そそきの)にて兵を挙げ、ハジロクマワシを討ち取った。

資料




巻第九 氣長足姫尊 神功皇后



荷持田村にハジロクマワシ(羽白熊鷲)という者がいた。この者は強健であり、身体にあった翼で空を飛んだ。また、熊鷲は天皇の命令には従わず、常に人民から略奪をした。

仲哀天皇9年3月17日、神功皇后はハジロクマワシを討伐するために橿日宮から松峽宮に移った。すると、たちまち旋風が起こって皇后の御笠を落とした。これにより、当時の人々は その地を御笠(みかさ)と呼ぶようになった。

仲哀天皇9年3月20日、神功皇后は層増岐野にて兵を挙げ、ハジロクマワシを討ち取った。その時、神功皇后が側近の者に「ハジロクマワシを討ち取ったことで、私の心は安らかになりました」と言ったので、この地を安(やす)と呼ぶようになった。