山彦(ヤマビコ) ― やまびこの正体とされた妖怪 ―
ヤマビコとは、日本の山に棲むといわれる山の神・妖怪・精霊のこと。
山で起こる反響や怪異現象の正体とされ、同じ性格を持つ木霊と同一視されている。
基本情報
概要
山彦は、日本の山に棲むとされる妖怪で、山の神・山の神の神使・山の精霊ともいわれている。かつては 山の斜面に大声を発した時に声が遅れて返ってくる現象の正体と考えられていたことから、今でも「やまびこ」と呼ばれている。
日本各地に伝承があり、呼称や容姿も各地方によって異なる。例えば、鳥取県では呼子や呼子鳥と呼ばれ、犬や鳥といった容姿をしているとされる。また、静岡県では山の小僧と呼ばれ、高知県宿毛市の楠山では山で声のする怪異全般をヤマヒコと呼ぶという。なお、『百怪図巻』や『画図百鬼夜行』では犬のような姿で描かれている。
山彦の性格は、人に害を及ぼすというものではないが、人の発する声や物音を真似て驚かせるという。なお、樹木の精霊である木霊(こだま)も同様の性格であるため山彦と同一視されることが多い。この他にも、山に棲む妖怪であるヤマコやヤマワロおよび、中国の妖怪であるホウコウとも同一視されることがあるようだ。
また、佐賀県には山彦と類似するオラビソウケという妖怪がおり、山中で叫ぶと叫び返してくるといわれている。この他にも、福岡県にはヤマオラビという妖怪がおり、山中でヤイヤイと叫ぶと何処からかヤイヤイという声が返ってきて、それを続けていると段々その声が近づき、遂には叫んだ人を死に至らしめるとされている(割れ鐘を叩くと死を避けられるとも)。
データ
種 別 | 日本妖怪 |
---|---|
資 料 | 百怪図巻、画図百鬼夜行 |
年 代 | 不明 |
備 考 |
各地の呼名
・鳥取県:呼子(よぶこ)、呼子鳥(よぶこどり)
・静岡県:山の小僧
鳥取県の伝承
鳥取県の民間伝承では、山彦は山の神の使いで、人の声を真似る化物とされている。
ある日、猟師が焚火をしようと枯れ枝を折ったところ、向こうの森でも同じような音がした。
驚いた猟師は「アッ」と声を出すと、また同じように「アッ」という声がした。
恐怖した猟師が逃げ帰る途中に「思わぬことをした」と言うと、また同じような声がした。
だが、猟師は何事もなく無事に帰れたという。
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