羅刹鬼【ラセツキ】
珍奇ノート:羅刹鬼 ― 岩手の由来になった鬼 ―

羅刹鬼(らせつき)とは、岩手県盛岡市に伝わる鬼のこと。

人々を害したことから三ツ石様に捕らえ、悪事を止めることの証に三ツ石に手形を残したとされている。

この手形は「岩手」の名の由来とされており、現在でも見られるといわれている。


基本情報


概要


珍奇ノート:羅刹鬼 ― 岩手の由来になった鬼 ―
三ツ石様
珍奇ノート:羅刹鬼 ― 岩手の由来になった鬼 ―
鬼の手形

羅刹鬼は岩手県盛岡市に伝わる鬼で、三ツ石神社にある「三ツ石様」の伝承に登場する。この伝承によれば、羅刹鬼は旅人や里人に悪事を働く鬼だったので、里人たちが三ツ石様に羅刹鬼を懲らしめてくれるように祈ると、羅刹鬼はたちまち三ツ石に縛り付けられてしまったという。そこで羅刹鬼が「二度と悪さをしない」「二度と里に姿を現さない」と誓って許しを乞うと、三ツ石様は何かシルシを立てるように言ったので、羅刹鬼は誓いのシルシとして三ツ石に「自分の手形」を残して南昌山の彼方に逃げ去ったという。

この鬼の手形が「岩手」の名の起こりといわれており、「不来方」という地名は羅刹鬼が二度と来ないと誓ったことに由来するという。また、羅刹鬼が去った後に喜んだ里人たちが三ツ石の周りを何日も踊り、三ツ石様に感謝の真心を捧げたとされており、この踊りが「さんさ踊り」の始まりだといわれている。なお、三ツ石にある「鬼の手形」は雨上がりの日に石の表面に浮かび上がるらしい。

羅刹について

「羅刹」とは鬼神の総称であり、「悪鬼羅刹」という言葉があるように「人に害をなす鬼」として使われることが多い。また「羅刹鬼」という言葉も羅刹と同じ意味を持つとされるため、岩手の羅刹鬼も固有名詞ではなく「人に害をなす鬼」としての代名詞だったのかものしれない。

ちなみに仏教における羅刹は天部の一つで羅刹天とも呼ばれており、十二天に属する西南の護法善神で、夜叉と共に四天王の多聞天(毘沙門天)の眷属として仕えている。この羅刹の由来は、インド神話に登場するラークシャサであり、この鬼神は人を害したり、食らったりする悪鬼であるとされている。

データ


種 別 日本妖怪、鬼
資 料 三ツ石の伝説
年 代 不明
備 考 岩手の由来の一つ

羅刹鬼の関連スポット
・三ツ石神社:鬼の手形のついた巨石(岩手県盛岡市名須川町2-1)

資料


岩手の由来
三ツ割にある3つの大石は、岩手山が噴火した時に飛んできた石といわれており、昔から「三ツ石様」と呼ばれて人々に信仰されていた。この土地には羅刹鬼という鬼がいて里人や旅人に悪事を働いたので、困り果てた里人は三ツ石様に悪鬼を懲らしめてくれるように祈願すると、たちまち三ツ石の神様が羅刹鬼を大石に縛り付けてしまった。

これに仰天した羅刹鬼は「もう二度と悪さはせず、二度とこの里に姿を現さないから許してくれ」と言うと、三ツ石の神様は「なにかシルシを立てよ」と言ったので、羅刹鬼は三ツ石に手形を押して南昌山の彼方に逃げ去ったという。この手形が「岩手」の名の起こりといわれている。