なまはげ【ナマハゲ / ナマハギ / 生剥げ】
珍奇ノート:なまはげ ― 秋田県の男鹿半島に伝わる来訪神 ―

なまはげとは、秋田県の男鹿半島に伝わる来訪神のこと。

当地では、漢の武帝が連れていた5匹の鬼に由来するといわれている。


基本情報


概要


ナマハゲは秋田県の男鹿半島に伝わる来訪神で、その由来には諸説あるが、男鹿の民話では「漢の武帝が連れてきた5匹の鬼」に由来するといわれている。その内容は以下のようなものになっている(諸説あり)。

男鹿にやってきた武帝は5匹の鬼を眷属としていたが、正月(または正月15日)には年に一度の自由を与えたので、喜んだ鬼たちは人里に降りて悪事の限りを尽くしたという。これに困った里人は鬼たちに「一晩で海辺から山の頂上まで千段の石段を築くことができたなら毎年一人の娘を出してやるが、できなければ二度と里に降りるな」という条件を出した。

すると、鬼たちは日暮れを待って石段を築き始め、凄まじい勢いで石を積み上げていった。これに驚いた里人たちは、鶏の鳴き真似の上手い天邪鬼(あるいは物真似上手な里人)に鳴き真似を頼むことにした。そして鬼たちが999段積んだところで、鳴き真似をさせると、鬼たちは一番鶏が鳴いたと思って山奥に去っていったという。

その後、里人たちは里に来なくなった鬼たちを偲んで、鬼たちの来ていた正月15日に鬼の真似をしながら集落を回り歩くようになったという。これがナマハゲの由来であるとされている。

上記が男鹿に伝わるナマハゲの由来とされており、この5匹の鬼は赤神神社の五社堂に祀られているといわれている。また、赤神神社の赤神とは武帝のことで、5匹の鬼は父母の鬼と3匹の子鬼であるとされている。

ナマハゲの語源
ナマハゲの「ナマ」は、当地で「ナモミ(生身)」と呼ばれる火班(低温火傷)に由来するといわれている。この「ナモミ」は囲炉裏に当たってばかりの怠け者にできるので、これを出刃包丁で剥ぎ取りに来る者ということで「ナマハゲ」となったとされている。なお、ナマハゲが持っている手桶は怠け者から剥ぎ取ったナモミを入れるためのものらしい。

ちなみに東北地方を始めとする日本各地には、ナマハゲと似たような来訪神が伝えられているが、その多くが「〇〇ハギ」や「〇〇タクリ」といった名前になっている。これもナマハゲと同様に怠け者にできる火班を剥ぎ取りに来るものとされており、〇〇にはその地域の火班の名称が入ることが多い。また、「タクリ」という言葉は「むき取る」と意味するらしい。

行事としてのナマハゲ
ナマハゲは秋田県の代表的な民俗行事として有名だが、県内では男鹿半島と潟上市・山本郡三種町の一部で行われており、大晦日あるいは正月15日の晩にナマハゲに扮した若者が忽然と家々にやって来るという。その姿は、鬼のようなナマハゲ面に、藁で作られたケラミノ・ケダシ・ハバキを着け、ワラグツを履き、手には大きな出刃包丁(または鉈)と手桶を持つ といったものになっている。

そして「泣ぐ子はいねぇがー、怠け者はいねぇがー」などと叫びながら家々に暴れ込む。ここで家人はひたすら謝りながらナマハゲの機嫌を取って丁重にもてなす。また、ナマハゲの唱え文句に対してひたすら否定すると、ナマハゲは「一年中神社のウド(穴)の中にいるから、言うことを聞かない子供や、怠け者が居たら3回手を叩け。そうすればすぐにやって来るぞ」と言って去っていくという。このナマハゲは年越しの晩にやって来て人々に祝福を与える年神とされている。

ナマハゲの面
ナマハゲは夫婦で一対の存在とされており、面の色や形で性別を見分けることができるという。

・ジジナマハゲ(爺):赤色、角張った顔
・ババナマハゲ(婆):青色、丸みを帯びた顔

ナマハゲの格好
ナマハゲの格好は以下のようなものになっている(地域によって異なる)。

・面:鬼のような面で、色・形・髪型・髪色には様々なものがある
・ケラミノ:いわゆる蓑笠で、抜けた藁には御利益があるとされる
・ケデ(ケンデ、ケダシ):上下半身に纏う蓑で、ケラミノの代用とされる
・ハバキ:脛に着けるもの(藁製)
・ワラグツ:藁製の履物
・出刃包丁:ナモミを剥ぎ取るためのもの(鉈や鉞の場合もある)
・手桶:ナモミを入れるためのもの
・御幣:来訪神であることを現すもの(地域によって有無は異なる)

ナマハゲの諸説
ナマハゲには上記の説の他に以下のような説がある。

・山の神の使い説:男鹿三山の赤神権現の神使とする説(赤神は武帝という説もある)
・修験者説:真山の修験者が村里に降りて祈祷した様子を模したという説
・異国人説:漂着した異国人とする説(福井のアッポッシャはこれとされる)
・役人説:農閑期で怠けた農民を鬼の形相で戒めた役人とする説(石川のアマメハギはこれとされる)

データ


種 別 来訪神、鬼
資 料 秋田の伝承
年 代 前漢
備 考 起源には諸説あるが、武帝の鬼に由来するという説が有力とされる

ナマハゲの関連スポット
・赤神神社:五社堂にはナマハゲの由来とされる5匹の鬼が祀られる(秋田県男鹿市船川港本山門前祓川35)
・真山神社:なまはげ柴灯まつりの会場(秋田県男鹿市北浦真山水喰沢97)
・なまはげ館:なまはげの博物館(秋田県男鹿市北浦真山水喰沢)

ナマハゲに類似するもの
・ナナミタクリ(岩手県釜石市)
・スネカ(岩手県大船渡市三陸町吉浜)※無形文化遺産
・タラジガネ(岩手県大船渡市三陸町越喜来)
・アンモ(岩手県北上山系)
・ナゴミタクリ(岩手県上閉伊郡)
・ナモミタクリ(岩手県遠野市)
・ヒカタタクリ(岩手県遠野市)
・ナゴメハギ(秋田県能代市)
・ヤマハゲ(秋田県秋田市)
・ナモミハギ(秋田県由利郡)
・アマハゲ(山形県遊佐町)※無形文化遺産
・アマメハギ(石川県能登地方、新潟県村上市)※無形文化遺産
・アッポッシャ(福井県福井市)
・アマブラコサギ(愛媛県宇和島地方)