ヘンハムの飛行蛇【The Flying Serpent of Henham / Henham Dragon】
珍奇ノート:ヘンハムの飛行蛇 ― 1669年にイングランドに現れた翼蛇 ―

ヘンハムの飛行蛇とは、イングランドのエセックス州に現れた怪物のこと。

蛇の胴体に比較的小さな翼を備えており、その翼で飛行していたと伝えられている。


基本情報


概要


ヘンハムの飛行蛇は、1669年にイングランドのエセックス州で報告された「翼を持つ蛇」と呼ばれる怪物で、近世ヨーロッパにおける異形の生物報告の一例として知られている。17世紀にロンドンで発行された小冊子『The Flying Serpent, or Strange News out of Essex』によって広く伝えられており、当時の人々に強い印象を与えた出来事とされている。

この怪物は、エセックス州のサフロン・ウォルデンから数マイル離れたヘンハム村近郊の丘陵地帯、とりわけ白樺の林(バーチ・ウッド)付近で目撃されたという。その姿は全長8〜9フィート(約2.5〜3メートル)ほどで、胴体は人の腿ほどの太さを持ち、鋭い歯が並ぶ口と大きな目を備えていたという。また背には翼があったとされるが、その大きさは小さく、全身を支えて飛翔するには不十分であったと記録されている。

最初の目撃者は馬に乗って通行していた人物であり、突如としてこの怪物が馬に襲いかかったため、恐怖のあまりその場を逃走したと伝えられている。この報は村人たちの間で急速に広まり、周辺では家畜への警戒が強まった。さらに複数の者が現地でその姿を確認したとされ、目撃情報は次第に増えていった。

村人たちは棍棒や銃を携えて討伐を試みたが、怪物は林の奥へと潜み、その姿を捕らえることはできなかった。その後もしばらくの間、同様の目撃が続いたとされるが、最終的にその正体や行方は明らかになっていない。

この出来事は当時の印刷物として記録され、複数の証言を伴う「奇怪な報告」として広く流布された。こうした記録は、近世ヨーロッパにおいて未知の生物や怪異がどのように認識され、伝えられていたかを示す一例とされている。また後世においては、その姿の特徴からワイバーンのような翼を持つ蛇の一種として関連付けて語られることもあるが、当時の記録自体はあくまで「翼ある蛇の出現」を伝える報告として残されている。

データ


種 別 UMA、伝説の生物
目撃地 イングランドのエセックス州
年 代 1669年
体 長 約2.5〜3メートル
備 考 胴体に対して翼が小さい

『The Flying Serpent, or Strange News out of Essex』の記述


1669年5月27日頃、イングランドのエセックス州ヘンハム近郊で「翼を持つ蛇」と呼ばれる怪物の目撃が相次いだ。

この怪物は、サフロン・ウォルデンから数マイル離れたヘンハム村の近く、とりわけ白樺の林(バーチ・ウッド)付近にてしばしば目撃されており、日中に太陽の下で身を伸ばし、土手の上に横たわる様子が確認されたという。

最初の目撃者は、当地を通行中の男性であった。この男性が馬に乗って通行していたところ、突如この怪物が馬に襲いかかり、その巨大さに驚いた男性は恐怖のあまり逃走を余儀なくされたという。

その後、村人の間で噂は急速に広まり、近隣の農地では家畜への警戒が広がった。さらに複数の者が現地に赴き、怪物の姿を確認したとされる。彼らの証言によれば、体長は8〜9フィート(約2.5〜3メートル)ほど、胴は人の腿(もも)ほどの太さを持ち、鋭い歯が並ぶ口と大きな目を備えていたという。

また、背には翼があったが、その大きさは極めて小さく、全身を支えて飛翔するには到底足りないものと見なされた。それでもなお、この怪物は胸を持ち上げて人に対峙し、挑むかのような態度を見せたと報告されている。

村人たちは棍棒や銃を携えて討伐を試みたが、怪物は林の奥深くに潜み、その姿を捕らえることは叶わなかった。以後も同様の目撃が続き、事態は未だ収束していない。

なお、この報告は複数の証言があるとされ、ロンドンにて印刷された pamphlet(小冊子)として公に流布されている。