川太郎 ― 西日本の河童 ―

川太郎(かわたろう)とは、河童の同類とされる日本の水怪のこと。
主に西日本各地に伝わる河童伝承の一系統であり、ガタロやゴウラなどの呼び方もある。
基本情報
概要
川太郎(河太郎)は、日本の水怪であり、一般的には河童の別名として認識されている。河童の異称の一系統として主に西日本各地で用いられており、カワタロウ、ガワンタロ、ガタロ、ガタロウ、ガータロ、ゴウラ、ゴウラゴ、ゴウラボシ、ガロ、ガロボシ、ガラボシなどの呼び方がある。ただし、説話によって外見や能力などに差異があり、河童の一種として扱われることもあれば、河童とは別の妖怪として扱われることもある。
江戸時代の百科事典『和漢三才図会(1712年)』によれば、川太郎は別名を「川童(カワラウ)」といい、山中に棲む山童(ヤマワロ)の同類とされる。西日本や九州の渓谷や池、川などの水辺に棲み、外見は十歳ほどの子供のようで、人の言葉を話すという。頭頂部には水をたたえた皿状のくぼみがあり、この水が失われると力を失うが、水が残っている間は人並み外れた怪力を発揮するとされる。
普段は水中に棲み、夕方になると川辺へ現れて畑の作物を盗んだり、人に相撲を挑んだりする。また、牛馬を水中へ引き込んで害を加えることもあるとされ、川を渡る際には注意が必要とされる。加えて、捕らえても後の祟りを恐れて放してしまうとされ、菅原道真が詠んだと伝えられる「いにしへの 約束せしを 忘るなよ 川だち男氏は 菅原」という歌を唱えれば災いを避けられるという俗信も記されている。
江戸時代の虫譜『千蟲譜(1811年)』では「水唐」という名で紹介されている。『本草綱目』の「水虎」に関連するものとされ、虫類ではなく鼈(スッポン)や黿(大型の亀)の類であるとしている。九州地方の水中、特に豊前・豊後に多く生息するとされ、四〜五歳ほどの子供ほどの大きさで、甲羅を持ち、頭や手足を甲羅に引き込めるという。また、相撲を好み、人の肝を食べる水怪として記されている。山城では「カハタロウ」、但馬では「カワロ」、江戸では「カツパ」と呼ばれるとも記される。
江戸時代の随筆『甲子夜話(19世紀)』には、川太郎に関する3つの奇談が記されている。巻十では「九段の弁慶堀で、水中に人を引き込もうとした怪異の正体が河太郎であった」という話が語られている。巻三十二では「対馬に棲む河太郎の姿や習性」が紹介されている。巻六十五では「各地に伝わる河童・川太郎の異名や信仰、形態に関する伝承」がまとめられており、水神や福太郎として祀られる事例についても記されている。
奈良県ではガタロあるいはゴウラと呼ばれ、様々な伝承が残されている。説話においては微妙な差異も見られるが、水辺に棲む人型の水怪であり、キュウリを好み、子どもを水中に引き込んだり、尻を狙ったりという一定の共通点が見られる。
なお、民俗学者の柳田國男は著書『妖怪談義』の中で「故郷(兵庫県福崎周辺)では川童をガタロすなわち川太郎と呼んでいた」と述べており、その他に滋賀、京都、大阪、和歌山、三重などでもガタロの伝承が散見されるため、近畿地方ではガタロと呼ばれることが多いものと思われる。
上記の資料を総合すると、川太郎は河童と共通する特徴が多く見られるため、河童の異称・一系統とみなすことができる。具体的には、子供ほどの体型をした人型の水怪で、頭頂部に水を蓄えるくぼみを持ち、二足歩行を行う。人語を理解して話し、水辺に棲み、人や家畜に危害を加える存在として語られている。また、相撲を好む、人を水中へ引き込む、尻や肝を狙うといった性質も共通して見られる。
一方で、川太郎の姿や能力には地域や文献による差異も存在する。猿に似た体毛を持つもの、亀に似た甲羅や水かきを持つものとして描かれる場合があり、また変身能力や人に取り憑く性質、祟りをもたらす存在として語られる例もある。このように、「川太郎」という呼称には複数の地域的な水怪伝承が含まれており、その呼称だけから外見や性質を一つに定めることは難しい。
・人間の小児のような姿をしている
・頭頂部に皿状の窪みがある
・髪が生えている
・二足歩行する
・川、池、渕、沼などの水辺に棲む(海辺にも現れる)
・非常に強い力を持つ
・人間の言葉を話す
・人を水中へ引き込むなど、人畜に危害を加える
・尻子玉を奪う
・相撲を好む
・田畑の作物を盗む
・キュウリを好む
・猿や亀に似た特徴を持つ
・頭頂部の水が失われると力を失う
・霊的な存在や妖怪とされる
・人に取り憑くことがある
・変身能力を持つ
・薬や知識を授ける
・恩返しをする
・血や肝を好んで食す
・福神として祀られる
・水神として祀られる
データ
| 種 別 | 妖怪、UMA、伝説の生物 |
|---|---|
| 資 料 | 『和漢三才図会』『千蟲譜』『甲子夜話』ほか |
| 伝承地 | 近畿地方 |
| 年 代 | 不明 |
| 備 考 | 河童の異称であり、特定の地域の呼称の一系統とされる |
スポンサーリンク
スポンサーリンク
|
|
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿