夜行さんの伝説
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夜行さん(徳島県)
以前は節分・大晦日・庚申の日の他に夜行日があった。夜行日とは大の晦、小の朔日だといわれるが、これは『拾芥抄』にある百鬼夜行日のことだろう。正月は子の日、二月は午の日など、月ごとに日が定まっているもので、この日の晩には悪魔が盛んに横行する。十字路は悪魔が最も多く集まる場所で、人が入れば迷って出られなくなるという。
この日の晩には、悪魔の大将である夜行さんが首切れ馬に乗って徘徊する。夜行さんは一つ目で髭の生えた鬼といわれており、通る時に馬につけた鈴の音がジャンジャンと聞こえてくるという。もし、この首切れ馬に出会ってしまうと、投げられたり蹴り殺されるといわれるが、草鞋を頭に乗せて地に伏せていれば免れることができるという。
吉野川市の西方寺の山門は「閉めずの門」と呼ばれており、その所以は 昔 住職が門を閉めていたところ、首切れ馬に乗った夜行さんが此処を通ろうとして、大門の扉の蝶番をねじ切ったという伝説があり、それからは大の晦・小の朔日には山門を閉めなくなったといわれている。
ヤギョウサンの伝説(徳島県三好市)
政友では、節分の夜にヤギョウサンが来るといわれている。それは片目で髭の生えた鬼であり、お菜の事を話していると毛の生えた手を出してくるという。
夜行の神(愛媛県西予市)
毎月27日夜の子の刻(午前0時前後)、上須戒村と高山村との境に小笹ヶ城から、烏帽子に狩衣といった姿の貴人が頭の無い白馬に乗って来て、一人の舎人を御伴に多田村の小笹ケ城まで通ったという。地元の人は これを夜行の神と呼んでおり、もし この貴人に行き逢えば忽ち熱病を煩って死ぬと言い伝えられている。よって、27日の夜には人々は恐れて この道を通ることはない。
ある年の秋、高山村の百姓であった権四郎が稲の番をしていたところ、遥か遠くから蹄の音が聞こえて、次第に近づいてくると人の声も聞こえるようになった。そこで権四郎は夜行の神の話を思い出し、日を数えてみると27日夜の子の刻頃だったので、驚き恐れて番小屋の中から飛び出し、道の下の岸陰に隠れることにした。
そこで心中で氏神に念じていると、程なくして夜行の神が道を通って来たので、どうなることかと思っていると、夜行の神がしばらく足を留めて道下を覗いて「この下に人がいる」と言った。すると、これに舎人が「この者は下人であります」と答えたので、夜行の神は また足を進めていった。そこで権四郎は助かったと思ったが、それから90日ほど煩ったという。
夜行(ヤギョー)の伝説(高知県高岡郡)
夜行(ヤギョー)は易杖を鳴らしながら夜の山路を通る妖怪でで、通る時にジャコジャコと音を鳴らして来るという。
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