あまんじゃこ ― 兵庫県に伝わる伝説の巨人 ―
アマンジャコとは、兵庫県に伝わる伝説の巨人のこと。
いわゆる天邪鬼のようなひねくれた性格をしており、村人に悪戯をしていたとされている。
『播磨国風土記』に登場する大人と同様の説話があることから、これと同一視されることもある。
基本情報
概要
アマンジャコは兵庫県に伝わる巨人で、あまりの背の高さに天に頭が支えてしまうので、常に屈んで這うようにして歩いていたという。そこで、天が高い土地を探して国中を巡り歩いていたところ、今の兵庫県多可町に到り、そこは随分天が高かったので、アマンジャコは両手を上げて思い切り背伸びすることができ、これに喜んで「ここは空が高いぞ」と叫んだことからタカ(多可・託賀)の名が起こったとされている。
上記の説話は『播磨国風土記』の託賀郡条に登場する大人(おおひと)という巨人の伝説と同じであることから、アマンジャコと大人は同一の存在と見なされることもある。
この後、アマンジャコは笠形山に移り住んだとされる。このアマンジャコは人の言うことにワザと逆らうのようなひねくれた性格で、悪戯することも大好きだったので、笠形山に移り住んでからは麓の村人を驚かせることばかりを考えていた。そこで「一夜のうちに笠形山から妙見山までを繋ぐ橋を架ければ、村人たちはさぞ驚くだろう」と思い、日が暮れてから作業を始めて、二つの山に石を積み、あっという間に土台を作り上げてしまった。アマンジャコはこの土台に丸太を架けて橋にしようと思っていたが、二つの山の間隔は6kmほどもあるので、橋に見合う大木などどこにも無く、焦って山中を探し回っていると、やがて一番鶏が鳴いてしまった。そこでアマンジャコは作業を止めて、そのまま土台を放置してしまったという。これが笠形山の登山道に残る「あまんじゃくの石柱」だといわれている。
その後、麓の村人たちが田んぼで雨乞いしていた時に、これを見たアマンジャコが「そんなに雨が欲しいなら火の雨を降らせてやろう」と叫ぶと村人たちは驚いて逃げ帰っていった。それでも、村人たちは雨乞いを止めなかったので、アマンジャコはこれを繰り返して遊ぶようになったという。しかし、雨は降ることはなく、村人たちの中にも神を信じない者が出てきて、雨乞いをする人々は日毎に減っていくようになった。そこでアマンジャコは何を思ったのか、笠形山の大岩を砕いて太い縄で縛り、それを引きずって村々を巡るようになり、その岩を引きずる振動が地鳴りのように響いたので、人々は神の祟だと思って家に閉じこもるようなったという。
それから、アマンジャコは村々を巡って全ての田に供物を供えて回ると、夜が明ける頃には岩を引きずった溝が川のようになっており、そこには水が流れ出していた。アマンジャコはこれを見ながら山に帰ろうとすると、村々から水を得られたことを歓喜する声が聞こえ始め、それは次第に広がって山鳴りのように響いたという。それからは村の作物はよく育つようになり、人々は豊かに暮らしたという。その後、アマンジャコは姿を消して消息は分からなくなったが、田を回った時に休憩したという岩は「あまんじゃこの腰掛石」として今でも残されている。
また、このアマンジャコは多可町のゆるキャラである「たか坊」のモチーフにもなっている。
データ
種 別 | 日本妖怪、巨人 |
---|---|
資 料 | 『播磨国風土記』、兵庫県の伝説 |
年 代 | 不明 |
備 考 | 風土記に登場する大人と同一視されることがある |
・あまんじゃこの腰掛石(兵庫県多可郡多可町中区曽我井)
・あまんじゃくの石柱:あまんじゃくが作ろうとした橋の名残(兵庫県多可郡多可町 笠形山登山道)
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