牛鬼【ウシオニ / ギュウキ】

宇和島の牛鬼とは、愛媛県の宇和島地方に伝わる怪物のこと。

人や家畜を襲っていたため、山伏によって退治されたと伝えられている。


基本情報


概要


宇和島の牛鬼は愛媛県の宇和島地方に伝わる怪物で、小高い丘に見えるほどの巨体を持ち、一説には頭は龍で身体は鯨だったといわれている。この宇和島の牛鬼については、以下のような伝説が伝えられている。

昔、宇和島地方には牛鬼が棲んでおり、人や家畜を襲って苦しめていた。そこで、人々は喜多郡の河辺村に住む山伏に退治を依頼すると、山伏は四国を巡って牛鬼の姿を探した。

しかし、なかなか現れなかったので、山伏が河辺村に帰ると そこに牛鬼が現れた。その牛鬼は小高い丘に見えるほどの巨体であったが、山伏は法螺貝を吹き立てて、調伏の真言を唱えると、牛鬼は恐れて後ずさりしたので、山伏は腰に帯びていた修羅の剣を抜いて、これを牛鬼の眉間に突き立てて殺した。

それから牛鬼の遺骸を斬り刻み、その身体をいくつにも斬り分けると、その血は7日7夜の間 流れ出して やがて淵になったという。それは 高知県の土佐山、徳島県の白木山、香川県の根来寺 にある牛鬼淵だといわれている。

一説によれば、この伝説から「牛鬼の祭礼」が始まり、木彫りの牛鬼を魔除とするようになったとされる。

また、当地には上記の他にも、河野七初兵衛という侍が牛鬼を退治したという伝説や、僧都(愛南町)の猟師が山で遭遇した針金のような毛に覆われた牛鬼を撃退したという伝説もある。

牛鬼の山車

愛媛県の南予地方の祭礼では牛鬼と呼ばれる山車が町を練り歩き、家ごとに首を突っ込んで悪魔祓いをするという。特に宇和島市で毎年7月22・23・24日に行われる「和霊大祭・うわじま牛鬼まつり」が有名で、24日の親牛鬼パレードでは全長5~6mにもなる巨大な牛鬼が市内を練り歩くことで知られている。

この牛鬼(ウシオニ)は、ウショウニ、ウショウニン、オショウニンなどとも呼ばれており、長い首の先端に牛のような角を生やした鬼面を据え、竹を編んで作った亀甲型の胴体に、剣をかたどった尾がついており、その全身をシュロの毛や赤布で覆われている。これを大勢の人が担いで練り歩くといったものになっている。

この由来は定かではないが、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に加藤清正が使った亀甲車を起源する説がある。この亀甲車は、堅板で作った箱車に燃えにくい牛皮を張り、その先に棒に刺した牛の生首を掲げたといったもので、この中に兵士を入れて戦わせたとされている。この他にも牛鬼の由来には諸説ある。

由来の諸説
・宇和島の牛鬼説:宇和島の牛鬼退治を起源とする説
・牛島の牛鬼説:牛島(山口県)の牛鬼退治を起源とする説
・牟岐の牛鬼説:海部郡牟岐町(徳島県)の牛鬼退治を起源とする説
・疫病除説:宇和島で疫病が流行った時に、疫病除けとして牛鬼を作ったことを起源とする説
・怨霊除説:牛鬼の怨霊を鎮めるために牛鬼の模型を作ったことを起源とする説
・狼退治説:宇和島藩主の許可を得て狼退治のために牛鬼を作ったことを起源とする説
・亀甲車説:朝鮮出兵の際に加藤清正が作らせた亀甲車を起源とする説
・大洲太郎説:大洲太郎が赤布で牛鬼を作って敵を退治したことを起源とする説

データ


種 別 伝説の生物、鬼、UMA
資 料 宇和島の伝説
年 代 不明
備 考 当地では祭礼で牛鬼と呼ばれる山車が走る