燭陰 ― 中国に伝わる人面蛇身の神 ―

燭陰(しょくいん)とは、古代中国の『山海経』などに登場する人面蛇身の神のこと。
その身体は赤く、千里に及ぶほどの巨体であるとされている。
基本情報
概要
燭陰は、古代中国の文献に登場する人面蛇身の神である。その身体は赤く、千里に及ぶほどの巨体であるとされる。時代が下ると、龍の一種として扱われるようになり「燭龍(しょくりゅう)」という名で呼ばれるようになった。全身が赤い龍ということから、赤龍の一種として扱われることもある。
紀元前4世紀頃の『山海経(海外北経)』では「鍾山の神を燭陰(しょくいん)という。この神が目を見開けば昼となり、目を閉じれば夜となる。息を吹き出せば冬となり、吐き出せば夏となる。飲むことも食らうこともなく、呼吸すらしない。ただ、この神が呼吸をすれば、それが風となる。その身の長さは千里におよぶ。無𦜹国の東に位置し、その姿は人面蛇身、赤色であり、鍾山の麓に居る」と説明されている。
また『山海経(大荒北経)』では「西北の海のさらに外、赤水の北に章尾山がある。そこに神がおり、人面蛇身で赤色。目は真っ直ぐついている。その神が目を閉じれば闇となり、目を見開けば光となる。食わず、寝ず、呼吸もせず、ただ風雨を司る。これが九陰(世界の果ての闇)を照らす者、すなわち燭龍である」と説明されている。
このように『山海経』では、海外北経に「燭陰」、大荒北経に「燭龍」が記されており、記述上は別項目であるが形態や機能の一致から同一神と解釈されることが多い。なお、後代の『淮南子』では「人面龍身の燭龍」として語られている。
2世紀頃の『後漢書(張衡列伝)』には、天界を巡る旅の途上で暗がりに差し掛かった主人公が「燭龍を急き立てて松明(炬)を持たせ、行く手を照らさせた」と記されており、自然神であった燭龍が文学的に闇を切り裂く「光の先導者」として人格的に使役される様子が描かれている。
日本においては、江戸時代の妖怪絵師として知られる鳥山石燕が『今昔百鬼拾遺』の中に燭陰の姿を描いている。そこには人面龍身の姿として燭陰の挿絵と共に『山海経』に記される説明を書き加えている。これが日本における燭陰の代表的な図像例の一つとなっている。
| 種 別 | 神仏、伝説の生物 |
|---|---|
| 資 料 | 『山海経』『淮南子』『今昔百鬼拾遺』など |
| 年 代 | 不明(紀元前?) |
| 備 考 | 燭陰と燭龍は同一とされているが、微細な違いも見られる |
スポンサーリンク
スポンサーリンク
|
|
コメント
0 件のコメント :
コメントを投稿