牛鬼【ウシオニ / ギュウキ】
珍奇ノート:鬼ヶ城山の牛鬼 ― 山口県の鬼ヶ城山に伝わる牛鬼 ―

鬼ヶ城山の牛鬼とは、山口県豊浦町の鬼ヶ城山に伝わる牛鬼のこと。

新羅からやって来たとされており、人に化ける能力があったといわれている。


基本情報


概要


鬼ヶ城山の牛鬼は山口県下関市豊浦町に伝えられる牛鬼で、朝鮮半島の新羅からやって来て鬼ヶ城山に棲み着いたとされており、人に化ける能力があったともいわれている。その伝説は以下のような内容になっている。

天徳2年(958年)、新羅国の牛鬼が鬼ヶ城山に砦を築いて棲んでおり、そこを根城として麓の人々を害していた。その頃、この牛鬼は大歳神社の宮司の娘を見初めて、夜毎に覗き見るようになった。やがて、牛鬼は娘と契りを結ぼうと、美しい童子に化けて娘の元に通うにようなったので、宮司はいつか仕留めてやろうと機会を窺っていた。

この年の10月14日の夜、童子に化けた牛鬼が娘と戯れていたので、これを待ち構えていた宮司は牛鬼に向かって弓矢を放った。すると、その矢は牛鬼の片目に刺さったので、牛鬼はすぐに鬼ヶ城山に逃げていったが、山頂に着いたところで息絶えた。これ以来、鬼ヶ城山の頂上には片目の蝿が出るようになり、近づくと取り憑くといわれている。

なお、当地には上記の伝説の類話があり、その伝説では「鬼ヶ城山の牛鬼が ある夫婦の妻を見初めて、夫の居ぬ間に若者に化けて通うようになったので、夫は弓矢で牛鬼を追い払った。矢を受けた牛鬼は血を流しながら逃げていったが、やがて鬼ヶ城山の麓で息絶えた。その後、牛鬼が村に祟りを為すようになったので、村人たちが牛鬼神と名付けて祀ると、それからは祟りが起こらなくなった」という内容になっている。

データ


種 別 鬼、怪人
資 料 豊浦町の伝説
年 代 平安時代
備 考