影鰐の伝説
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アバヤ沖の影鰐伝説(島根県邇摩郡温泉津町)
昔、日祖のアバヤ沖に影鰐という怪魚が棲んでいた。この影鰐は海が凪の時に出るといわれていたので、付近の漁村では凪の日には漁に出てはならないという掟があった。その漁村に住む若い漁師は掟を不満に思っていたので「せっかく天気が良い日なので漁ができないなんて馬鹿げている」と言って、村長の注意も聞かずに凪の海に出ていった。
その漁師が漁を始めると、何事も無かった上に大漁であったため、掟は迷信だったと確信してはしゃぎながら漁を続けた。しかし、日が暮れて水面に影が大きく映る頃になると、突然 漁師の身体に痛みが走り、その部分の服が裂けていた。驚いて海面を見ると、巨大な魚の影が自分の影をついばむように食っている。これが影鰐である。
影鰐が漁師の影を食うたびに漁師の服は裂け、身体は傷付いて血が流れた。そして、次第に体力を失っていき、意識が途絶えそうになった時、漁師は村長の「影鰐が出たら海面の影を隠せ」という忠告を思い出した。そこで漁師は船に敷いていたゴザを海に投げ入れて影を隠すと、影鰐は諦めた様子で姿を消した。だが、すぐに帰ればまた影鰐に襲われるため、漁師は影の消える夜になるまで船に隠れて、それから村に帰った。漁師が村で一連の出来事を話すと、それからは掟を破る者は居なくなったという。
アバヤの影鰐(島根県邇摩郡)
アバヤの海洞の沖で2人の漁師が漁をしていると、突然 1人の漁師が消えた。そこで村人総出で消えた漁師を探したが着物しか見つけることができなかった。このアバヤの海洞には影鰐が棲んでいるといわれている。
影鰐の伝説(島根県邇摩郡)
影鰐が海に映った船夫の影を呑むと、その船夫は死ぬという。
昔、ある船夫が航行中に影鰐に影を呑まれそうになったので逆に撃ち殺してやった。それから船夫が砂浜を歩いていると、足の裏に魚の骨が刺さり、それが元で死んでしまった。その骨は影鰐の骨だったという。
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