龍馬 ― 空を翔ける伝説の馬 ―
龍馬(りゅうま)は、御伽草子に登場する伝説の馬のこと。
空を飛ぶことができ、悪路王や田村将軍が愛馬としたとされている。
基本情報
概要
龍馬は、御伽草子『田村の草子』や『鈴鹿の草子』に登場する伝説の生物のことで、空を飛ぶことのできる馬であったとされており、『田村の草子』では悪路王という鬼が乗った「空飛ぶ龍の駒」として登場し、『鈴鹿の草子』では田村将軍が乗った「龍馬」として登場する。
『田村の草子』では、悪路王は高い築地に囲まれた堅牢な城に住んでおり、城門を開ける際に龍の駒に乗って城に入り、中から城門を開いていたとされる。討伐に向かった藤原俊仁は悪路王不在の時にこれに乗って城に入ろうとしたが、城に向かわなかったので剣で脅して城に向かわせたとされている。『鈴鹿の草子』でも同様の件があるが、そこに登場するのは地獄王と名付けられた「空飛ぶ龍」とされており、俊仁に脅される際に「畜生なれども龍は馬の王であろう」といわれている。
『鈴鹿の草子』では、陸奥国の霧山岳に大嶽という鬼神が現れた際に、討伐の勅命を受けた田村将軍は、ソハヤノツルギを帯び、龍馬に金覆輪の鞍を置き、これに跨って霧山岳に向かい、そこで龍馬を空に引き上げると空に翔け上げっていき、程なくして霧山岳に到着したとされている。『田村の草子』にも同様の件があるが、そこで手に入れた名馬は山海を平地のように駆けたとされるものの、空を飛んだという描写はない。
ちなみに龍駒(りょうく)という言葉は「優れた良馬」または「素質に優れた少年」を指す言葉として存在する。
甲斐の黒駒
龍馬の他にも空飛ぶ馬の伝説として「聖徳太子の黒駒伝説」がある。これによれば、聖徳太子が甲斐国から良馬を献上させた際に四脚の白い黒駒を名馬と見抜いて愛馬としたとされ、太子が舎人の調使麿と共に試乗した際に黒駒は天高く飛び上がって富士山まで向かい、そこから再び都に帰ってきたとされている。
麻呂子親王の愛馬
上古に三上ヶ獄(現・大江山)の三鬼を討伐した麻呂子親王は、討伐に向かう旅の途中で土中から龍馬を得たという。この龍馬は無双の俊足で、どんな狭く険しい道であっても平地を進むように駆け抜けたとされている。
祖母山の竜駒
大分県と宮崎県を跨る祖母山には「竜駒伝説」がある。これによれば、祖母山には神馬が棲んでおり、その頭には1本の角が生えていたことから竜駒と呼ばれていた。この竜駒には空を飛んだという伝説は無いが、その毛を持ち帰ると幸運が訪れ、竜駒の餌場に生える篠竹(すずたけ)を馬に食わせると病気をしないのだという。また、山麓の牧場で飼われていた斑馬と竜駒と交わり、後に斑馬が角の生えた仔馬を生んだとも言い伝えられている(この角は現存するらしい)。
データ
種 別 | 伝説の生物 |
---|---|
資 料 | 『田村の草子』『鈴鹿の草子』 |
年 代 | 平安時代 |
備 考 |
関連資料
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